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zoom RSS フランスは少子化対策の模範となるか?

<<   作成日時 : 2017/04/22 18:35   >>

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もうだいぶ前の話だが、モーニングショーで玉川アナがやってる定番コーナー「そもそも総研」で、「フランスみたいに予算を投じて少子化対策をしよう!」というのをやっていたのだが、どうなんですかね?

少子化対策には年間2兆円もかかるというトンデモ試算が出ている。「そもそも」フランスの少子化対策はそんなに効果があるものなのか。

よく言われてるのが移民の影響で、フランスは旧植民地からの移民が多い国。その点で日本とは社会条件が違うので、移民の影響を排除して考えないと日本と比較できない。

私は文系なので人口統計なんかド素人なのだが、内閣府によると、フランスの合計特殊出生率は2011年度で2.01だ。一方日本は1.39。

そもそも合計特殊出生率とは何なのか? 昔は自然増加率とかよく聞いたけど、全然別のものなのか。

調べると、合計特殊出生率とは、年齢ごとの出産子供数を各年齢の女性数で割ったものの総和だという。年齢xに対し、15歳から49歳までの各年齢の女性が産む子供の数をf(x)、各年齢の女性数をg(x)とすると、2011年のフランスにおける合計特殊出生率は

Σx=15 x=49 f(x)/g(x)=2.01

各年齢層ごとで産む子供数と母親数の比率は当然違うのだが(20歳代と40歳代では産む子供の数は違うはず)、それを合計してやると1.5とか2.0になるという話だ。

何ともややこしい計算だが、大ざっぱにいうと子供集団が母親集団の何倍か?という指標だろうか。厳密には「各年齢層ごと」の対母親比率なので、全年齢の対母親比率ではない。総和すると分母はf(15)、f(16)、…、f(49)の積となる。

しかし、だいたい2.0が人口維持年齢とされている。ということは、やはり母親集団全体の約2倍の子供がいればよい、というものなのか。それならなぜΣf(x)÷Σg(x)としなかったのだろう(あくまでΣ{f(x)÷g(x)})。

ウィキの解説には人口構成の偏りをなくすためとか書いてるが、Σf(x)を分子にしなかったのは、Σf(x)を求めることができないからだろう。15歳から49歳までの女性が「実際に」総数何人の子供を産むかなんて、追跡調査でもしない限りわからない。結果がわかるのは35年後だ。

しかし今、各年齢の女性たちが何人子供を産んだかはわかる(日本なら出生届を見ればいい)。そこで、便宜的な手段として、各年齢層ごとの出生率を算出し、それらを合計するという計算式にしたのだろう。つまりかなり仮定が入った数値なのだ。

つらつら計算式を見てると、もう一つの理由として、どうも一人一人の女性が各年齢ごとに何人の子を産み、生涯で何人くらい子を持つか把握したかったからではないかという気がする。あくまで女性個人の出生率なんだな。

たとえばある国とか地域で、25歳の女性1万人が産む子供は1000人だとすると、25歳年齢集団の出生率は0.1となる。同じように35歳までですべて0.1だとすると、25歳から35歳までの各年齢ごとの出生率の総和は1となり、その国とか地域の女性は25歳から35歳までの間にだいたい1人の子供を産むことになる。

これが国によっては、15歳から20歳までの間に3人とかになる国もあるだろう。アフリカあたりの発展途上国がそれで、そこの女性は若くしてたくさん子供を産んで、「まあ大変ねえ!」ということになる。

要はこれがしたかったのだろう。フェミニズムのおばさん連中の統計学者が考えそうなことだ。

おかしいのは、本来一人一人の女性のライフサイクルを把握するのに適した合計特殊出生率が、なぜか国全体の出生率の把握に使われていることだ。国ごとに合計なんたらを毎年計算して、「子供の数は国の力なり」と言わんばかりに競争している。安倍政権も当然これに取り組んで強国日本をめざしているわけですな。

少子化対策は国の課題、というわけで、政府は国力増進のため、フェミニストは女性の地位向上のため、「合計特殊出生率」を振りかざして国民に保育所つくれとか育児休業とか呼びかけているのである。なんだかこれ、戦時中の「愛国婦人会」あたりとダブって見えてしまう。

何ともうさんくさい指標だが、これに対してあくまで母親集団全体の出生率で考えたらどうなるか。

ある年xの新生児数をp(x)、出産可能年齢を同じく15歳から49歳までとする。全年齢層の母親集団をq(x)として、p(x)を各年齢層の出産数の平均と見る。これだと「母親集団全体」の出生率は35p(x)/q(x)となる。

合計特殊出生率に比べるとなんとも簡単な代物だが、たとえば、2000万人の母親たちで年に100万人子供を産むとしたら、母親集団全体の出生率は0.05になる。

これを出産可能年齢期の母親たちの1年あたりの平均出産数と見ると、15歳の女の子が49歳の母親になるまでに、平均1.75人の子供を産む計算になる。2000万人の母親たちで3500万人の子供を産むから、人口維持にはまだ500万人ほど足りない、ということになるのだろう(あくまで個人的見解ですよ。責任持ちません)。

これはさておき、合計特殊出生率に話を戻すと、フランスの場合、フランス自国女性の年齢xにおける出産子供数をf1(x)、女性数をg1(x)、移民女性のそれをf2(x)、g2(x)とすると、自国女性、移民女性の合計特殊出生率は

Σx=15 x=49 f1(x)/g1(x), Σx=15 x=49 f2(x)/g2(x)

ということになる。フランスでは人口の1割が移民だというから、男女比同数とすると、g1(x)=g(x)×0.9, g2(x)=g(x)×0.1になる。

しかしf1(x)やf2(x)がわからない。90年代の統計では、自国民の出生率が1.65に対して、移民は2.5という数字もあるが、ちょっと古い。

そこでInsee(L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques フランス国立統計経済研究機構とでも訳すのだろうか)というところのサイトを見てみると、2009年のデータで、移民の合計特殊出生率は2.93であるのに対し、フランス生まれの女性の出生率は1.8だと書いてある。やはり「フランス人」はたくさん子供を産むのかな。

しかし、フランス自国民の出生率は1.8で、全体が2.0、よって移民の出生率上昇への寄与率は(2.0-1.8)÷2.0×100=10%にすぎない、と言えるのだろうか?

フランスでは「移民」とはフランス在住で外国で生まれた者としている。だが「移民」といっても、中身はいろいろだ。「フランス在住で外国で生まれた者」というのは法律的な定義にすぎない。

また「フランス自国民」といってもその中にはかなりの数の移民2世、3世も入っている。移民と移民2世を合わせると1200万人ぐらいになり、人口の2割を占めているという。

そこで再びInseeを見てみると、2014年には移民の数は560万人で、うち230万人がフランス国籍を取得している。また、移民2世は650万人だという。

自治体国際化協会(何者?)というところの"Clair Report No. 363"なるものによると、移民の子供は97%がフランス国籍を取得する。両親が外国人でもフランスに5年間住み続けると自動的にフランス国籍が付与されるためらしい。

この移民2世を国籍付与を理由に「自国民」とカウントすることには、数字のレトリック、早い話が「だまし」が入っている。日本でも国籍をとった中国人を「日本人」と考える人はいない。

統計をやってる連中は、だいたい自分の主張に有利なように統計を操作して、反対派を「統計がわかってない!」とだまくらかそうとする。都合の悪い数字は無視するか、隠してしまう。これもそのいい例だ。

フランスでは「外国人」であっても、その子供たちはほぼ100%フランス国籍を取得して「フランス自国民」になっていく。水に溶かした液体のように、拡散して見えなくなっていくのだ。

法律家のつくったご都合主義の言葉に惑わされると、こういう社会の実態がつかめなくなってしまう。出生率は「移民(外国生まれのフランス在住者)」と「フランス生まれのフランス国籍保持者」などという、役所の文書に書くカテゴリーで違うのではない。

そこでまだ疑ってみよう。Inseeによると、フランスで2014年に生まれた子どもの数は81万8000人だという。そのうち18万4000人が外国人の子(両親または片親)だとか。この18万人は「移民2世」となる。そのうち6万人ぐらいはEU域外出身の両親から生まれている。

考えたらこれ、変な統計で、「外国人が両親の子供」が、フランスにおける新生児人口に初めからカウントされている。フランスでも原則は血統主義だから、この子たちは生まれた時点ではまだフランス国籍を保持していないのでは?

しかし5年たてばほとんどがフランス国籍を取得するから、もう「フランス人」に含めてしまっているのだろう。外国人が両親の子供でも、5歳までいればフランス国籍になるから、「こんなに生まれた♡」と堂々とカウントするのである。日本で「外国人の赤ちゃんが20万人も生まれてくれましたよ」と安倍さんが記者会見するだろうか。

日本の場合、平成25年度の総務省の統計では、新生児数のうち「日本人」とは父母の両方、もしくはどちらかが日本人である者とし、その総数を102万9000人としている。このうち両親とも日本人である新生児は98万7000人で、全体の96%を占めている。父母の一方、もしくは両方が外国人である新生児は5万5000人にすぎない。

両親ともにフランス人とか日本人に限ると、その合計特殊出生率はどう計算されるのか。平成25年度の日本人女性の出産可能女性人口(15歳から49歳)の総数は約2600万人となっている。しかし年齢ごとの出産数がわからないし、Inseeでも見当たらない(どこかにあるのか知らんけど)。

そこで、さっきのやり方で、母親集団全体と年間新生児数から考えてみよう。平成25年度年度の新生児を、日本の2600万人の母親集団が産む子供数の1年齢ごとの平均ととらえると、103万人を35倍して全体では3605万人の子供を産むことになる。

3605万を2600万で割ると1.39になる。合計特殊出生率は1.42だから、今子供を生んでいる20代、30代の母親たちは、40代以上の母親たちより少し多く子供を生んでいるのだろうか。それとも計算式が違うからか?

これをフランスに当てはめてみる。「フランス人」(フランス国籍保持者。移民2世を含む)のうち、15歳から49歳までの母親集団人口がなかなかわかりにくいのだが、Inseeの人口表から計算すると約1510万人ぐらいだろうか。2014年度の統計ではフランスの総人口のうち約6.2%が外国人とあるので、「フランス人」の母親集団は男女比同数として1410万人ぐらいだと思う。

1410万人ぐらいの母親集団で年間63万4000人の子供を生むとすると、同じように計算すると、母親集団で考えた「フランス人」の出生率は1.57になる。

2014年の合計特殊出生率1.99より下がるのはなぜか。計算がトンチンカンなだけだろうが、ともかく可能性をあたると、どうも鍵は「外国人」のようだ。

フランス人の合計特殊出生率は、先に書いたように初めから外国人の産む子供を「フランス人」とカウントしている。今は外国籍でもいずれほぼ100%がフランス国籍保持者になるのだ。実際、82万人(新生児)・1510万人(母親集団)で計算すると、出生率は1.90になる。

これがフランスの高い合計特殊出生率のからくりなのか。ともかく、外国人の影響を抜きにしてはフランスの出生率は理解できないだろう。

血統主義の建前をとりながら、フランスで生まれた外国人の子供はほぼ100%フランス人となり、片親が外国人というフランス人の子供も年間約10万人生まれる。新生児のおよそ2割が外国との関わりを持っている。しかも、国籍を保持する「フランス人」といっても、その1割程度は外国人の子供、移民2世と考えられるのだ。

フランスのヨーロッパ系の移民はイタリア、スペインなどラテン系諸国が多数だが、このイタリア、ポルトガル、スペイン各国の出生率は2012年度で1.4、1.28、1.32で軒並み低い。日本と同程度だ。しかし彼らは移民の中ではむしろ少数派で、移民の約45%はアフリカ系が占めている。

アフリカ諸国の合計特殊出生率は、アルジェリア2.82、モロッコ2.71、チュニジア2.17となる。だいたいアフリカは人口爆発が起こっている地域で、同じく旧フランス植民地のギニアは5.0、コートジボアールは4.89、セネガルは4.98とある。フランスの移民のうち「その他のアフリカ系」はだいたいここらへんの出身でしょう。こんな風に出生率は民族や文化的背景によって違うのだから、国籍だなんだではなく、こっちに基づいて考えなければならない。

Inseeのサイト内を探すと、実はこういう民族集団ごとの合計特殊出生率についてはInseeも気にしていたらしく、"La fécondité des étrangèresen France"というレポートがある(「フランス国内における外国人の出生率」)。1999年までの古い統計値だが、それによると、フランス人の合計特殊出生率が1.72であるのに対して、フランス在住のアフリカ系外国人のそれは4.07とある。

アフリカ系でもマグレブ諸国の合計特殊出生率は3前後で、それも1990年度より減少する傾向がある。しかし西アフリカ出身者の場合は減少幅が小さく、1999年度でも6前後を保っている。西アフリカはフランスの旧植民地が多く、マグレブ諸国以外のアフリカ系集団としては最大規模とある。

これは、60年代からフランスにやってきたマグレブ系アフリカ人は、比較的早くからやってきたために、少産化のフランス社会に「同化」する程度が大きく、合計特殊出生率が低下していることを意味するのではないか?

対して90年代から増加した西アフリカ系外国人は、同化の程度が小さく、まだ合計特殊出生率が母国並みに高いことを意味しているのではないか。

なぜInseeが2003年の段階でこんなアフリカ諸国別の外国人の合計特殊出生率を調べたのか。フランスの高い合計特殊出生率が、アフリカ系、特に西アフリカ諸国出身の移民によるものではないか?という疑念を早くから持っていたからではないですかね。

もしこれが事実なら、「フランスに見習って少子化対策を」なんて議論は消し飛んでしまう。せいぜい女性票対策の意味しかない。

だいたい、マグレブ諸国出身者が、フランスにやってきて時がたつにつれ合計特殊出生率が低下するのはなぜなのか? 子供を産めば産むほど減税、手当、育児休業その他の恩恵が受けられるフランスで、である。

考え出すときりがなくて、いろいろ検討すべきことがあるように思う(またいろいろ追加して書くかもしれないが)。「フランスに見習え!」とフェミニズムに凝り固まった連中が宣伝をぶってるが、なんせ「年間2兆円」の少子化対策事業だ。突っ走る前によくよく考えた方がいい。でないと太平洋戦争の二の舞だ。

そもそも、ドイツも少子化対策はいろいろやってるが、ほとんど効果があがっていないことで知られている。ドイツの移民は昔からトルコ出身者が多いが、最近トルコは減少気味で、むしろポーランドやロシアが多い。ところがトルコの出生率は2.06だが、ポーランドは1.30、ロシアも1.6にすぎない。

ドイツの少子化対策がうまくいかないのは、人口増加率の高いアフリカ系の移民が少ないからだという気がするが、いかがなものだろうか? それは、少子化対策という莫大な予算の「公共事業」をはじめようとする日本にも、等しく当てはまると思うのだが。

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