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zoom RSS 国の借金が1078兆になるという話を

<<   作成日時 : 2017/08/11 14:55   >>

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時事通信のニュースサイトが報道していたが(https://www.jiji.com/jc/article?k=2017081000925&g=eco)、これに対してネットの反応は「財務省の陰謀だ!」「国の資産もたくさんあるから大丈夫なはず」などなどある。

「財務省の陰謀」説の出どころは安倍ポチ学者の高橋洋一あたりなのだろうが、国債残高が1078兆円になるというのは単なる事実発表なので、これ自体は正確な事実なのだろう。むしろ報道各社の報道は控えめなもので、巷間ではほとんど話題にもなっていないから、仮に財務省に増税への「思惑」があったとしても、今回は(あるいは今回も)あてが外れている。

問題は、「国の資産もたくさんあるから大丈夫」という言説の妥当性である。

これについてもよく言われるが、反対論は「国の資産といっても売却できないものばかりだから、やはり大丈夫とは言えない」というもの。この出どころはもちろん財務省で、そこのホームページにちゃんと説明もしてある(財務省「政府の負債と資産」http://www.mof.go.jp/faq/seimu/03.htm)。

一目瞭然の説明で、平成21年度の国の資産647兆円のうち、大半は高速道路や地方自治体への貸付金、国立大学など独法への出資金などで、性質上売却ができないものばかり。年金積立金を借金返済にあてたら特別背任どころの騒ぎじゃないし、約19兆円の現金も翌年度の支払いにあてるから、これも借金返済にはまわせません、ときっちり念を押している。

外貨証券は91兆円あるが、このうち82兆は米国債だから、これを市場に売り出したら日米安保体制は崩壊するだろう。重大な背信行為とトランプに責められ、核の傘は消えてなくなるでしょうね。

誰でもわかるシミュレーションだが、公有財産144兆円といっても大部分はメンテの必要な道路とか堤防である。多くは建設から半世紀を過ぎて内部はボロボロ、維持費だけでも莫大な金がかかる代物で、買う者などいない。仮に売れても、外国企業が日本の高速道路や水道を保有することになったらどうするか。それだけで日本会議のような右派勢力は気が狂ってしまうだろう。

日本郵政の政府保有株はどうか。せいぜい4兆円ぐらいにしかならないが、「国の資産」であることに変わりはない。

ところが、この郵政株の売却もなかなか進んでいない。第一、日本郵政自体がもうかっていない。下手に売り出すと郵政株の値段が下がってしまう。第1次売り出し時の1400円を下回ると批判が出る。

国立大学の民営化はかつて小泉政権で竹中平蔵なんかが唱えていたが、もちろん大反対の大合唱で、やっと独法化で収まったのだった。

確かに日本に国立大学は多すぎると思う。旧帝とせいぜい東工大、一橋、神戸ぐらいでいいだろうと個人的には思うけど、ほかの国立大が軒並み民営化したら、困ってしまう大学生とその保護者が続出するだろう。

と、ここまでは財務省の主張というか容赦ない現状報告なのだが、一方で、独法への出資金58兆のすべてが必要かどうかは吟味する必要があるだろう。無駄な天下り法人もあるはずだ。

しかし、たとえば高橋洋一いうところの「埋蔵金」も、中身はどうなのか。外為特会の積立金20兆円を景気対策の財源に、などとよく言っているが、1078兆に比べれば微々たる額だし、これを「景気対策」として運用したところで、どれだけ増えるのかと思う。

第一、外為特会は為替介入のために準備されているもので、「すぐ売っちゃえ」とできるものではない。外為特会の積立金が「埋蔵金」といえるかについては、たとえば小宮一慶が解説しているが(http://president.jp/articles/-/10764)、結論から言えば無理と思った方がいいだろう。

そもそも、こういう「政府はいろいろ金を持ってるはずだから、それを財源にすればいい」という議論は、旧民主党政権でさんざんやってた話である。「二位じゃダメなんですか」とわめき散らした蓮舫おばさんは闇に消えたが、アベノミクスの信奉者たちがこれと同じようなことを言ってるわけだ。

別に財務省の肩を持つつもりはないし、森友疑惑の佐川なんか死ねばいいと思ってるけど、財政問題に関して財務官僚たちの言ってることが、高橋洋一の言うように世迷言だの陰謀だのとは到底思われない。その根拠がないのだから。

また「第一」だけど、財務省が陰謀をめぐらす動機がない。増税で自分たちの給料や退職金を増やして、天下り法人でもつくるというのだろうか。財務官僚が何人いるのか知らないが、それで消費増税とは「超」がつくほど迂遠な話である。彼らには絶対的な身分保障があり、まじめに勤め上げれば、ほっておいても庶民のうらやむ再就職ができるのだから。

高橋が財務省を退官した経緯もよくわからないが、この嘉悦大教授は、自分が財務大臣か日銀総裁になれば日本経済はたちまちV字回復するみたいなことを「正義のミカタ」ならぬ「政府の味方」で毎回言っている。この人は以前はなかなか面白いことも本で書いたりしていたが、最近の様子を見ていると、頭がおかしいのではないかと真剣に思ってしまう。

これも「そもそも」の話なのだが、日本国債を持ってるのは日本国民に限られてるから、大丈夫という主張もネット民がやたらと書いてるけど、これも「そもそもあなた頭大丈夫?」という代物である。日本人が国債を持ってるなら、愛国心だの同胞愛に訴えて借金棒引きにしてくれるとでもいうのだろうか。

戦時国債が敗戦のハイパーインフレで紙くずになった例は日本でもあるけど、こんなことは今後あるはずがないし、あってもならない。日本国民が持っていようがいまいが国債は国民の借金で、国債を持たない一般国民はただの債務者である。

平成28年度の予算を見ると、国債の債務償還や利払いにあてられる国債費の対予算比率は24%にものぼっている(財務省「平成28年度一般会計予算」http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/002.htm)。国債残高は、直接的にはこの国債費比率として国民生活に影響する。

誰でもわかる話だが、支出の4分の1を借金返済にまわさなければならないわけで、この比率は社会保障費の33%に次いで高い。「ローンの返済だってそれぐらいだ」という稚拙な反論もあるが、ローンは完済すれば車でも家でも資産として残る。しかし国債は、完済しても個々の国民に有形資産として残るような代物ではない。

安倍応援団の大好きな防衛費ですら5.3%に過ぎず、文教・科学振興予算が5.5%、公共事業費でも6.1%にとどまっている。それだけ国債費と社会保障費が重くのしかかっているので、財政の硬直化が進み、将来に備えた投資をすることができない。ローンと比べてどうたらなんてこの際どうでもいい話だ。

それに以前は「景気回復で税収が2兆円増えた」とか言って安倍総理は鼻高々だったが、いつのまにやら財政赤字は増えている。収入が増えているのに借金も増えているという話で、これもどうなってるのと首をかしげてしまう。

2016年度の政府税収は3兆円余りの増加であり、2012年度から累積すると政府と地方自治体の税収は13兆円ほど増えている。やったーバンザイ♡と、この増収分で消費税を下げればいいと言ってる長谷川幸洋みたいな輩がいるが、そんな簡単なもんだろうか。

財務省によれば、2014年度の消費税引き上げに伴う税収増は6兆3000億と試算されている。これを除いた6兆円ぐらいがアベノミクスの「成果」と言えそうだが、消費税は1%引き上げると大体2.5兆円の税収になるというから、消費税引き上げを「再々再延期?」すると、引き上げ予定2%分の5兆円ぐらいが「景気対策」費として市中に出回ることになるのだろう。

これにプラスして、2016年8月に決定された景気対策予算28兆円で、たとえば33兆円が景気対策に投じられたとする。大学の一般教養の経済学で習う初歩的な話だが、これを乗数理論の数式に当てはめてみると、投資金額M、限界消費性向r、限界貯蓄性向1-rとして、乗数効果はM/1-rだから、たとえばr=0.9とすると、1-r=0.1で、単純計算で330兆も消費が増えることになる。

日本人の消費性向は大体0.7〜0.75ぐらいだと言われる。とすると1-r=0.25で、乗数効果を計算すると132兆になる。日本全体のGDPは530兆ほどだから、足し算して662兆になる。これなら2020年に名目GDP600兆なんて軽く達成できるのかしれないですね。

しかし、一般会計予算の34兆ほどを国債で賄っているから、これは返さなければならない。GDPが増加すると税収はどれだけ増えるのか。これは成長率にも左右されるので、いろいろな数字が乱れ飛んでいる。

財務省は、名目成長率が1%増加した場合した場合でも、税収増は1.4%にとどまると試算している(財務省「経済成長による財政収支の改善」http://www.mof.go.jp/faq/seimu/02.htm)。その理由として高齢化に伴う社会保障費の増大などをあげている。

2020年までに4年でGDPが70兆円増加するとして、GDPは13%増加することになる。年率換算だと成長率は3%ぐらい? 政府が「名目成長率3%」を掲げるのはここからきているのか。

電卓でできる計算を安倍政権もやってるのかと思うとバカバカしくなるが、そんなことはないとして、年率成長率が3%だと税収増は5.4%になる。平成28年度の国の租税・印紙収入57.7兆円に1.054をかけると60.08兆円だ。一方、同年度の歳出は97兆5000億である。「で?」という話だ。

平成28年度は国債費で23兆5000億使っている。3兆増えても利払い分9兆すらまかなえない。全然足りないと言った方がいいだろう。

財務省が嘘を言っていると言えばそれまでである。「税収増は1.4どころじゃない、5%はある」と言ってもいいが、森友加計と一緒で、財務省が資料を出さなければどうしようもない。「財務官僚がウソを言ってるんだあ!」と叫んでも民進党と同類で、水掛け論だ。

アベノミクスと民進党(旧民主党)は、根っこのところは同じなんじゃないだろうか。なんだかそう思いたくなる。官僚はウソつきで、どこかに金がある、だから増税なんかしなくてもいいんだ、という発想自体はまったく同じだ。それが国会や新聞紙面ではつかみかからんばかりに互いをののしっているのだから、ますます解せない。

消費増税なくして財政再建は可能なのか。「成長経済で財政再建」などと言ってる安倍総理は、イケイケドンドンで日米開戦に走った東条英機と同類に見えてしまう。

別に財務省が悪者で安倍さんが正義の味方でも構わないのだが、要はちゃんとした根拠を示していないから不安なのである。実質成長率が1.3%かそこらで、どうやって財政再建をやるつもりなのか、その具体策が一向に見えない。安倍政権になってから民営化一つ実現していないのに、である。

考え出すときりがないのだが、2020年に名目GDPが600兆になったとしても、それが景気対策の効果ならいずれ効果は消滅する。600兆になったらあとはひとりでにGDPは増えていく、という保証もない。

税収が58兆ぐらいしかないのに、歳出が97兆だから、どう見ても赤字である。国債費は24兆ぐらいなのに、赤字国債だけで30兆ぐらい発行している。差し引き6兆は新たな借金になるわけで、これをともかくゼロにしなければ財政は悪化していく。

早い話、これをプライマリーバランスとかいうのだろう。厳密な定義はよく知らんけど、新たな借入額を借金の返済額より小さくして、借金をこれ以上増やさないようにするという話だ。それを2020年にともかく達成するとしていたのに、やっぱり無理だから先送りすると言ってた訳ですね。

GDPは600兆どころか、1000兆ぐらいないとダメなんじゃないだろうか。中国のGDPが1220兆円ぐらいだから、それぐらいあればいいなと。

しかしいつのまにやら中国のGDPは日本の2倍以上になっていたのだ。日本が「世界第2位」と喜んでいられたのも2009年ごろまでで、それからたった7年でこんなに引き離されたのだ。当時、「中国経済はいずれ破滅する」いう本を書店の経済コーナーで盛んに目にしたけど、その著者たちは今も当たらぬ予言をしているのだろうか。

日本のGDPは1995年以来500兆円前後を行ったり来たりしている。そんな状態がもう20年も続いているのに、数年で1000兆になったりするだろうか。もちろんなってくれればいいけど、確率論的にはかなり低いから、ならないときのことも考えておく必要があるだろう。

日本、ドイツ、フランスのGDPは、2013-2014年から上昇に転じており、特に日本は2015年の年次成長率は名目で2.7%、実質でも1.2%となっている。これがよく言われるところの「アベノミクスの成果」で、今は人手不足が深刻化しているから、民主党よりはマシなのかなと私も思ったことがある。

しかしアメリカや中国、インドのGDPは、リーマンショック時の下げを除いて、ほぼ一貫して成長している。一方、日本やヨーロッパ諸国は2010年代だけ見ても跛行的だ。グラフだと簡単に見て取れるが、日本やヨーロッパは針が振れるようにフラフラしているが、アメリカ、中国、インドは文字通り右肩上がりの成長で、「ウソつき中国」は別としても、日本やヨーロッパとはまったく傾向が異なっている。

ドイツやフランスと似た動きであること、アメリカや中国と比べて上げ幅が小さいこと等々を見ていると、これって「確率的な振れ幅なんじゃない?」という気もする。一日の気温は風の入り方や日の当たり具合でフラフラ変化するが、「アベノミクスの成果」も、少なからぬ部分がこれなんじゃないかと考えてしまうのだ。

もし、ヨーロッパなんかと一緒に景気が持ち直しただけで、上げ幅がドイツとかより大きかったのは「たまたま」だとしたら、今後も年によってGDPが増えたりすることもあるのだろうけど、長期的には、500兆-600兆の間に収まるのかもしれない。サイコロを10回投げれば6の目は5回続けて出ることもあるが、100回投げれば大体6分の1になるというやつである。もしそうなら、日本経済には根本的な構造転換が必要だということにならないだろうか。

そもそも「GDP600兆円」などという目標は、いったいどこから出てきたのだろうか。経済成長で財政再建を考えているなら、足りない目標ではないのか。単なる景気づけでそんなことを言い出しているのかと思ってしまう。

1078兆円という数字が大きすぎて、逆に日本国民には現実感がなくなっているのだろうか。ここにもカーネマン=トベルスキーの法則が働いてるんでしょうか。それとも現実から目を背けるのは、右派だろうが左派だろうが、日本人の特性なんでしょうかね。

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